ギャッベについて
ギャッベ1はイランの南西部に位置するザグロス山脈を遊牧するカシュガイ族やルリ族などによって織られる、遊牧民の手織り絨毯の総称です。
もともと山岳地帯を移動する彼らの生活の中でベッドとして使うために織られてきたもので、羊の毛をざっくりと織ってふかふかに仕上げた手織り絨毯でした。
かつてイランの絨毯市場では、ギャッベは商業目的ではなく織り手が自分で使用するための粗くて粗野な敷物とみられていました。
その粗くて重い形状からギャッベ=ゴミ(garbage)として日の目を見ない商品でしたが、1980年代後半以降ヨーロッパを起点に市場が拡大し、それにともない品質も向上してきました。
ギャッベの特徴
素材
ギャッベの素材は、遊牧生活を共にする羊の毛。
染料には自生する草や花、樹木などを使うことで、自然な色あいを絨毯に与えます。
中でも大胆で明るい色づかい ー オレンジ、赤、茶色、黄色が、ギャッベラグの特徴。
天然染料ならではの不規則性による染めむら (アブラッシュ) が、これらのラグに均一なソリッドカラーにはない豊かな質感を与え、特徴的な遊牧の起源と精神を強調します。
デザイン
伝統的な遊牧民の文様を織り込まれることが多く、「羊・ヤギ」などの動物文様や生命の樹 と呼ばれる木の形などの自然をモチーフに、身の周りの景色やできごとを織り込んでいきます。
近年の傾向
ギャッベの良さは遊牧民による手作りであること。
素朴なデザイン
自然の草木染め
ふぞろいのサイズ
・・・どれをとっても人間味にあふれています。
手結びでつくるがゆえの丈夫さ、汚れにくく手入れが楽であることなどで、人気が高まりました。
本来は厚みのあったギャッベですが、市場向けに品質のよいギャッベが織られるようになり、かつては5cmほどの厚みがあったものが、近年は1cm程度にまで薄くなる傾向にあります。
結びが細かければ細かいほど織り子の手間がかかるため、結果として織り目の細かいものほど高額で取り引きされるようになりました。