"絨毯の裏を見なさい”はホント?
近年、手織りと見紛うような機械織りの絨毯がある。
5年ほど前1、イランのとある絨毯屋の倉庫で、ペルシャ絨毯を見せるなりどう思うかと聞かれた。
パッと見て「紡績糸工場ものの、魅力のない手織り絨毯だろう」くらいの感想を言ったら、半分手織りだという返事。
ということは半分機械織りだというのだ(半分機械織りというのもよくわからない説明だが)。
確かに裏を見ると、表の柄ははっきりあるものの、緯糸(よこいと)が手織りのそれとは若干違う。
言われなければほとんど手織り絨毯と思うだろうと感心した。
絨毯の裏からわかること
長年トライバルラグばかりを扱い、工場ものの大量生産品は買う気も売る気もないので問題ないが、手織りか機械織りかぐらいは裏を見れば一目瞭然、分かりやすいものであれば裏を見るまでもなく表だけでわかると思っていた。
むろん、トライバルラグ専門店はそういうものは扱わないが、デパートや家具屋さんは注意しなされ。
ちなみに絨毯の裏を見る理由だが、まず織りの技術がどれくらい正確であるかが分かる。
裏側を見て表と同じくらい柄がはっきりと見えるものが良しとされる。
裏から見ても緯糸(よこいと)がほとんど見えないものは、目の詰まりがあるということ。
そのほかにも、
緯糸がダブル構造になっているか (経糸が上下にあり、その2本糸に対して一つ結びになっている)
デプレス(上下の経糸の角度)が効いているか
経糸がシングル織りの構造になっているか
などがポイントだ
また、どれくらい古いものかを判断する上でも、表より裏の方に経年劣化が現れやすい。
表の色褪せに対して裏にはっきり色が残っていて極端に表と裏の色が違うばあいは、化学染料を使っている可能性が高い。
ちなみに、トライバルラグのばあいは 緯糸(よこいと)が何本入っているか、セルベッジ(両サイドの仕上げの仕方)などに、部族や産地につながるヒントがある。